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あしもと花道の作法の中に「水際拝見」というのがあるらしい。よそのお宅に伺って花が生けてあるときに、「花と水の接点」を見せていただくのである。生けてある花の足元がしっかり構築されていなければ、その花は美しくないという。人も花と同じ一つの生命体で、足元によって支えられているということであり、足元が見苦しくない生き方が作法の中に求められているのだろう。また、茶道、能楽、歌舞伎などの所作は、激しい動きによって上半身が乱れることがない。下半身の強靭なばねが、上半身の動きを表現しているのだ。
以前、村野藤吾設計の箱根樹木園休憩所を見たことがある。うっそうとした木立の中に、苔むした「きのこ」のような建物である。デザインは言うまでもないが、私が何より感動したのは、地面と建物の接点の「足元」である。建築と地面の接点に土や、がれきの朽ちたような素材が盛られてあり、あたかも、緑の林の中に、静かな生物がにょっきりと生えているような印象なのである.周辺環境を圧倒し誇示するかのような現代建築の林立する時代に、自然の中に溶け込み、その中に自らが見えなくなる手法に驚きを隠せなかった。また、彼の設計である糸魚川市にある谷村美術館の足元も実に美しい。建物の壁も廻廊の壁も床との間に線を引くことなく、緩やかなカーブに描いて立ち上がっている。ここでは、かき落としたモルタルやスタッコをこてでならしながら、かたちづくられている.このような建物と大地の境界を柔らかくする手法は、彼の数多くの作品に試みられている。 ADT 長谷川拓也建築デザイン 人をやさしく包み、暮らしを美しく飾る。 321-0132 宇都宮市雀の宮1-6-1 パインハウスⅡ 105号室 028-678-9173 OPEN 10:00-17:00 [ 033/STYLE ] [ TOP ] |
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平屋・鉤の家。 ゆるやかに傾く屋根と、長く連なる杉の軒が夕日に照らされ、刻々と色を変える、特別な家。※駐車場の都合上、予約制となります。 12/3(土)-4(日) 10時-17時 | ||
![]() 人と人々、あるいは作品をつなぐ場所。 ![]() published by STUDIO ASTERISK |
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